作品ID:A396
クリエイター名:家泉 邑
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作品ID
クリエイター名
E259
けん先輩
ストーリー
E216
羅
ストーリー
E202
北野 椿
ストーリー
E100
雨宮 汐
ストーリー
E004
高原 かづる
ストーリー
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作品ID
クリエイター名
D263
shimizu shihori
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D109
けん先輩
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D004
iyo
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作品ID
クリエイター名
B479
Rrow
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C487
Rrow
歌詞
B422
杏鳥ちょれ
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C424
杏鳥ちょれ
歌詞
B180
scatter sacura
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C190
scatter sacura
歌詞
B103
iyo
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C110
iyo
歌詞
B094
けん先輩
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C101
けん先輩
歌詞
B074
夏目 唯衣
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C077
夏目 唯衣
歌詞
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作品ID
クリエイター名
C487
Rrow
歌詞
B479
Rrow
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C424
杏鳥ちょれ
歌詞
B422
杏鳥ちょれ
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C343
宮城 寧
歌詞
C190
scatter sacura
歌詞
B180
scatter sacura
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C110
iyo
歌詞
B103
iyo
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C101
けん先輩
歌詞
B094
けん先輩
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C077
夏目 唯衣
歌詞
B074
夏目 唯衣
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作品ID:
B479
クリエイター名:
Rrow
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作品ID:
B422
クリエイター名:
杏鳥ちょれ
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作品ID:
B180
クリエイター名:
scatter sacura
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作品ID:
B103
クリエイター名:
iyo
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作品ID:
B094
クリエイター名:
けん先輩
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作品ID:
B074
クリエイター名:
夏目 唯衣
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作品ID:
C487
クリエイター名:
Rrow
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通りなれた道を 歩いて 濡らして行く 聞きなれた声も 溶かして 忘れてしまえたら 深く 深く 息をしてみた。 どうして 泣いているの ずるいよ どうして 夏の次に 飽きが来るの 遠ざかっていく 夏風に吹かれて 乾いた 帰り道 部屋の片隅に 残った 君の香りが あぁリズムもなくなって 色もなくなって 息もできなくなって Ah 崩れていく 世界が もう 戻れないの どうしたらいいの? 教えてよねぇ 好きだよ?君の優しさに染まってく それでも 最後に見つけ出してよ 私のこと
作品ID:
C424
クリエイター名:
杏鳥ちょれ
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A トークの履歴と 見つめ合って睨み合っていた 「さよなら」 より温かな答え探して B もういいや なんて何度思ったの 気づかないフリして 誤魔化そうとしてた こんなに胸が張り裂けそうなら いっそ忘れたいと願う C 堕ちてゆく キミの許へ 電子より深い世界で 嫌な自分も 癒えない傷も 消し去ってしまいたい ああ 堕ちてゆく 先はもう穴の空いた 過去の無邪気な笑顔だ 日が沈む空を眺めながら もう少し沈んでいよう A 消去をしますか 見つめ合って睨み合っていた 「いつかね」 そんな幻想に惑わされてる B 最低だ なんて何度思ったの 痛くないフリして 誤魔化そうとしてた こんなに夜が冷たいのなら いっそ忘れたいと願う C 堕ちてゆく キミの許へ 電子より深い世界で 嫌な自分も 癒えない傷も 消し去ってしまいたい ああ 堕ちてゆく 先はもう穴の空いた 過去の無邪気な笑顔だ 日の光さえ届かない海から 手を伸ばすけど C' 堕ちてゆく キミの許へ 電子より深い世界で 嫌な自分も 癒えない傷も 許されるのなら ああ 堕ちてゆく 先がもう穴の空いた 過去だとしても居場所だ 本当の光が射す日を待って もう少し沈んでいるよ
作品ID:
C343
クリエイター名:
宮城 寧
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『百鬼夜行』 窓の外 のぞく影 好奇心の名の許に集る はぐれて泣き出す子の声が 有線に絡まってかき消され そうして君は大人になった 誰にも望まれたくない 僕は僕だけの偶像でいたい 夜がそっと頬を撫でた 投げ掛けられた言葉も 返ってこなかった挨拶も 全部全部嵌め込まれ形になっていく こんなはずじゃ こんなエンドのはずじゃなかったんだ 嗚呼もう嫌になっちゃうな 夢の中 揺らぐ影 また今日も掴めなかった 誰にも救われたくない チープな教典など用はない いっそ君の愛で呪って 言いかけのみ込んだ声も 返せなかった手紙も 全部全部嵌め込まれ形になっていく こんなはずじゃ こんなエンドのはずじゃなかったんだ 嗚呼もう嫌になっちゃうな 誰かに愛されてみたい いびつな三角形みたいな こころを丸く包んでくれよ 叶わなかった願いも 戻ってこなかったあの人も 全部全部嵌め込まれ私になっていく こんなはずじゃ こんなエンドのはずじゃなかったんだ 嗚呼もう嫌になっちゃうな
作品ID:
C190
クリエイター名:
scatter sacura
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invisible 祈りの意味を知っている 悲しみの果ての喪失も 遥かに溶ける黄昏は 君の影を飲み込んだ 君は何色の夢を見てた? 「遠くに見える昨日」 透明になって君の心に触れたい 誰にだって癒えない傷はあるよ 涙の雨を知っている 永遠にもう止まないと 君に虹色の夢をあげる 「遠くに見える希望」 透明になって君の心を撫でたい 誰にも言えずにいた痛みを そのときなら裸足になって私にだって言える 広い世界で君に出会えて幸せだってことを きっと 舞い上がる夜に落ちていく 手を伸ばす度にすり抜ける 舞い上がる夜に落ちていく 手を伸ばし風を追いかけた 透明になって君の心に触れたい 誰にだって癒えない傷はあるよ 透明になって君の心を撫でたい 誰にも言えずにいた痛みを そのときなら裸足になって私にだって言える 君の全てこの体で包み込んでみせると ずっと
作品ID:
C110
クリエイター名:
iyo
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全てが止まってしまいそうな夜に 君の声を思い出した どれだけ近くに抱き寄せても 届かない 君は僕を見ていない どこまでも暗い海の底 明けない夜はないと君は笑うのに 僕が泣いていたのは 覚めない夢はないと聞こえたから 僕は君と夢を見ていたかった 僕は僕の事が好きじゃないけど 世界中の人が僕ならいいのに 君は困ったように笑うんだろう 何一つ 分かってやしないのに さよなら 人は誰も終わりが来て いずれ消えて行くのに 届かない君に僕は どうしたって この手 この目 声を 憶えていて欲しい 明けない夜はないと君は笑うのに 僕が泣いていたのは 覚めない夢はないと聞こえたから 僕は君と夢を見ていたかった
作品ID:
C101
クリエイター名:
けん先輩
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なんてことない小さな石ころを いたずら心で踏んづけた 私はバランスを崩してそのまま 転がって 膝を擦りむいた 服が汚れて ボロボロになって 家に帰れば怒鳴り声が待っていた いつもそうなんだよな私って 思い通りにならないことばかり 土の臭いに包まれてため息一つ 「あとは上がるだけ」って 簡単に言うけれど 落ちた時の衝撃を知ってしまっているから いっそこのまま掘り進んじゃおう 奈落の底の先にあるのは きっと希望の世界だよ ほら ほら 何でもできるなんて意気込んで 走り始めたら躓いた 全然平気だって嘯いても 深い深い傷を負っていた 誰かに気付いてほしい でも何も言わないで欲しい 一番わかってるのは私だから 一番気づかないフリしてる 隠しきれなくなって流した涙が土に溶け込んで 柔らかくなってくれたらいいのに 「次は頑張って」って適当に言うけれど それ以上の言葉なんて掛けてもらえやしないから 今はひとりで塞ぎ込んじゃおう 胸の奥の違和感の答えは きっと私の中にしかない 閉じてても開いてるときも 景色はいつも真っ黒だ なのに、夢の中で私の脳は たくさんの色を作り出している 手を掠めて飛んでった 未来を迎えに行きたい 次に誰かがここに落ちても 身を委ねられるような道を作ろう 無理に決まってるって簡単に言うけれど 手が届く瞬間の感動は きっと計り知れないから 空に向かって掘り進んでこう 奈落の底の先にあるのは きっと美しい世界だろう? 止まらない 死を知るまで ほら ほら
作品ID:
C077
クリエイター名:
夏目 唯衣
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「未完成」 静かに夜は更けて ただひとり 瞑想してみても見つからない 〝ここに居るよ″呟いた 誰も知らない 見えない棘がここに刺さってる イタイ だけど ガマン するしかないだろ 思い描く明日は遠のくばかりで 苛立ち 形ある意思は泡となって消えていく 再三散りゆく理想は もう二度と集まれないと知った 沈みゆく身体が溶けていくみたい でもまだまだ行き先なんて決まってないから 漂ってる からっぽのままで
作品ID:
D263
クリエイター名:
shimizu shihori
再生
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作品ID:
D109
クリエイター名:
けん先輩
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作品ID:
D004
クリエイター名:
iyo
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作品ID:
E259
クリエイター名:
けん先輩
なし
「ご応募ありがとうございます! 選考通過の際はご連絡させて頂きます!」 数週間前に届いたメールを眺めていた。 着信音が鳴る気配がないところを考えると。 今回も自分はダメだったんだと悟る 「いつもこうなんだよな、私って」 誰にでもなく、言葉が自然と口に出た。 子供のころからの夢だった歌手になる夢 「お前は才能があるよ! 将来ビッグになって自慢させてくれな!」 高校の時、先生に言われた言葉。 私自身も当たり前に行けると思っていた世界。 そんな私はまだスタートにも立てていない。 一度、「ここはすっぱり諦めよう!」と思ったこともあったが 結局は捨てきれずに戻ってきてしまう。 この夢はきっと共存の道しか残されていないのだ。 そんな時に見つけたひとつのアプリ インターネット上のアバターで、キャラクターの姿でライブ配信ができるらしい。 「試しにやってみようかな」 なんとなく無料登録して配信してみると何人かの視聴者が来てくれた。 得意の歌と、アカペラじゃ味気ないのでギターで弾き語りを披露すると 「めちゃくちゃ綺麗な声!」 「歌がお上手なんですね!」 「これは人気出るw」 最初の配信から沢山の反応があり、 自分の中で崩れかけていた自信を少しだけ取り戻せたような気がした。 それから毎日、一時間だけでもできるときは配信をし、 少しずつではあるが自分の歌を聴きに来る人が増えていった。 そして配信を始めて1年が経った頃 一つのDMが届いた。 「あなたのオリジナルの曲を一緒に創って世に出しませんか?」 私が以前オーディションで落ちたことのある有名なレコード会社からの連絡だった。 そんなことは遠い記憶として認識されても居ないんだろうけど。 色々あったが、今の私は自分の居場所を見つけつつある。 ただ、私は絶対に油断しない。 どん底に落ちたときの衝撃や痛みを知ってしまっているから。
作品ID:
E216
クリエイター名:
羅
無し
暗く、 深い、 海の底― 「……」 まだ降り続けている雨がつくった水溜まりが、ぐしゃぐしゃと街のネオンを揺らしている。足が止まり、その場にうなだれると、水溜まりはどうにか僕の顔を映し取る。あの時と同じ様な顔をしている。君は僕に言ったよね。 「暗い顔ね。」 言われた僕は、躊躇いながらも震える手で君を抱きしめた。 「大丈夫。明けない夜はないわ。」 君は慰めてくれたんだよね。でも僕にとってそれは呪いの言葉。 いつか夢は覚めるんだ… 兄貴が死んだのはいつだったろう。もう思い出せもしない。助手席に乗っていた君も生死の境を彷徨ったよね。それでも君が再び目を覚ました時、僕は兄貴が死んだというのに、ただ、ほっとした。 「―」 「!」 なのに君は、兄貴の名を呼んで、僕を抱きしめ泣きじゃくった。 君のためにと僕は兄貴であり続けた。君が幸せであるならそれで良かった。それでもやはり時には… そんな時に君は言ったんだ。あの呪いの言葉を。いっそ世界中の人が僕だったら、いつか君は僕を… 泣きじゃくっていた僕を、君は困ったように、微笑って見てくれていたんだろうね。そこに映っているのは僕じゃないのに。 君に、僕は、届いていないのに…! 君は、何も、わかってはいないのに…!! 「―」 「…!!」 君は最後まで、逝く時まで、僕を見ては、僕が届いては、いなかった… ぐしゃぐしゃに揺れる街のネオンの闇は、どこまでも暗く深い海の底の様に続いている。このままそこに飛び込んでしまえば、僕はそこで、闇に飲まれて消えてなくなるんだろうか。人は誰も終わりが来て、いつか消えて行くんだろうけど… 君に触れた手。 君が映っていたこの目。 君にかけたあの声。 あれは、どこへ消えたんだろう。君の中には、違う手と、目と、声が残っていて、あれは、どこへ… 「あああああああぁぁっ…!!!」 僕はただ、君と、ずっと、……
作品ID:
E202
クリエイター名:
北野 椿
無し
叔母から送られてきた君に初めて会った時、 僕は酷く古ぼけた機械だと思った。 艶やかな頬やよく梳かされた髪は、 確かに叔母が大事にしていた証だったけれど、 「はじめまして」と僕に挨拶する君の 発する言葉の節々にはノイズが混じっていたから。 無理もないことだった。 日本初の人型対話特化ヒューマノイドのサポートは、 もう20年近く前に終わっている。 そんな古い型番の君を叔母が送ってきたのは、 僕が学校に行くこともできず、部屋で息を殺すように過ごすのを 不憫に思ったからに他ならなかった。 その頃の僕は、太陽から逃げるような生活をしながら、 細く開けたカーテンの隙間から空を見上げては、 この夜が終わればいいのになんてことばかり考えていた。 ここは息をするのさえ辛い。どこまでも暗い海の底みたいだと。 でも、君が僕の部屋に来たその日、 口を開かずにうつむく僕に、君はそっと寄り添って、 そのノイズが混じった声で優しい物語を聞かせてくれたね。 僕の手を握る君の手は温かかった。 たとえそれが、人工的に作られた熱だとしても。 物語を話し終えた後、 君は僕に「あなたの話を聞かせて」と言った。 僕を見つめる君の眼差しは優しかった。 僕が言葉を口にすることが出来たのも、きっとそのおかげだ。 慣れない学校や馴染めない友達、 それらに揉まれて、うまく処理できない自分の心。 話し出したら、堰を切ったように止まらなくなって、 口から、目から、言葉や、涙を出しながら話す僕のそばで 君は黙って耳を傾けてくれたね。 それからの日々は、僕にとって夢のようだった。 君が僕を受け入れてくれるだけで、 光のない夜でも自然と深く息ができた。 けれどある日突然、君の動きが鈍くなった。 調べて分かったのは、今はもう作られていないバッテリーが寿命で、 それが壊れたら君は動かなくなることだった。 世界中の人が僕ならいいのに、 僕みたいに君を必要としていれば、君を助けられるのに。 探し出した命を延ばす唯一の方法は、君をスリープさせることだった。 唇を噛んで「おやすみ」をいう僕に、 君は「泣かないで、明けない夜はないわ」と笑った。 それは僕らの覚めない夢の終わりを告げられているようで、 余計に涙が視界を歪ませた。 君が瞼を閉じるまで、僕はただ君の手を握っていた。 次に会う時まで、この手を憶えていてくれるかな。 どんなに月日が経とうとも、君を迎えに来るから、 僕の姿形が変わっても、変わらない部分をどうか憶えていて。
作品ID:
E100
クリエイター名:
雨宮 汐
無し
「神様なんて嫌いだ」 そういって君は泣いていた。口から言葉を吐き出す度、銀色に染まった空気が逃げるように水面に上がっていく。赤く腫らした頬に流れる透明な滴が、海の中でさえ溶けてしまわないのはこの海が夢の中だとわかっているから。 いつか会えるといいと思って死ぬ前に神様にお願いした。私を君の沈む海に連れて行ってと。眠りの中で、押し迫るように睡圧が増す。終わりが近づいていく。 「僕はここにしかいられないのに、どうして君はここにはいられないの?」 困ったように笑うことしかできない。私を責めることで、慰められるなら何を言ってもいいのと思っていたのに、不意にこぼれた涙が物語る。 「失いたくなかったの」 夢の中で君の頬を指でなぞった。ぬくもりも優しさも全部ここでなら君と繋がれるのに、どうして私はここにいられないのだろう。 「僕だって一人で生きたくない」 「覚めない夢はないよ」 交通事故で頭を損傷し、植物人間となった弟と私は硬く手を繋いで離さなかった。病院でたくさんの管と機械に繋がられながら、いつか私が先に逝くのだと理解していた。 だから、神様に願ったの。 夢の中で弟と会いたい、最後に弟に触れたいと。 いつもいつも神様は大事なものを奪っていく。私は壊れそうな笑顔をそのままにしてゆっくりと弟を抱きしめた。 もう足から泡になって消え始めている。溶けるように夢の中の睡圧が私を許してはくれない。銀の空気、泡、キラキラ光りながら弟の周りを回って水面に逃げていく。 「いつか君も太陽の下に行けるから。だから、だから……私を忘れないで。忘れないで」 かすれた声で必死に何度も告げる。だから、憶えていてほしい。寂しいから、一人で生きていく君を見るのが怖いから、私を忘れないで。 君が目を覚ます瞬間、大きく息を吸いこんだ。目を覚ました弟は握っていたはずの私の手がないことに気づく。震えている。泣いている。 「お母さん、お姉ちゃんは? お姉ちゃんは何処なの?」 お母さんは泣いて言葉を詰まらせる。そのお母さんの肩を抱くお父さんが言う。 「充、お姉ちゃんはお前の中に、お前の命になってそこにいるよ」 はじめ言っている意味がわからなかった充は自分のお腹の傷を見て悟ったように声をあげて泣き始めた。 泣かないで、私はずっと君と一緒にいるから。それでも私はもういないから。だから忘れないことで私をそばに置いてほしい。
作品ID:
E004
クリエイター名:
高原 かづる
無し
「悪趣味」 僕の呟きに、彼女が振り返る。少し笑いかけて、すぐに窓の外の景色に視線を戻す。 手にはスマホを握りしめたまま。彼女の興味は窓の向こうの海。部屋の主である僕のことなんか放ったらかしだ。 彼女が僕の部屋にやってくるのは、窓から見える景色がお目当てだ。 ある日を境に世界は変わり、地球の九割は海と化した。ビルの最上階に住む彼女と、水面下になった部屋に住む僕。彼女の部屋からは太陽も拝める。でも太陽なら十五階の空中庭園で見ようと思えば見られる。そこは誰でも出入り自由だから。彼女と出会ったのも、そこだった。 世界がこうなってから、埋葬法は一つだ。亡骸を海に帰す。 僕の部屋からは、そうやって埋葬された人が時々、見えることがある。彼女はそれを録画する。最後の瞬間は美しいとか、そんなことを言って。 「もしも私が死んだら、その時は君が私のこと撮ってよ」 「縁起でもない」 「もしもだよ」 「海に帰すって言っても、色々だよね。普通の格好の人、装飾品とかいっぱいまとってる人、真っ白な死に装束の人。私はどんながいいかな」 「僕より長生きして」 「何それ、質問と合ってないよ。プロポーズみたい。ウケる」 「そのウケるって、承諾の受けるとみなすけど」 「……本気?」 「世界中の人間が君以外僕なら、君は僕しか選べないのに。実際は僕以外が多すぎる。どうせ君は僕なんか選びやしないだろうけど。部屋も水面下でずっと暗いしさ」 「卑屈だなあ、君は」 彼女が苦笑いする。付き合ってもいないのに、求婚めいたことして馬鹿みたいだ。こういうところも自分が嫌いだ。うまく立ち回れない。彼女との友人関係もこれでおしまいかもしれない。 「明けない夜はないよ。私はこの部屋好きだけど、君が明るいのが好きなら、うちで暮らすといいよ」 彼女が呆れたように笑う。彼女の言葉に僕が泣いたもんだから、彼女はますます笑った。 あれからどれくらい経っただろう。 随分昔のことを夢に見た。 僕より長生きしてとあのとき言ったのに、僕の願いは叶わなかった。彼女も僕なら、僕らの命が終わるその瞬間は僕と同じだったろうか、なんてことを思う。 そろそろ君の最後の姿を撮りに、あの部屋に向かわないと。君を海に帰す役目は僕らの子どもに託したから、僕は君との約束を果たしに行くよ。