作品ID:A488
クリエイター名:
きむら あんさい
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作品ID
クリエイター名
E287
北野 椿
ストーリー
E271
岩村 昂平
ストーリー
E266
nmenだよ
ストーリー
E254
室井 雅琉
ストーリー
E235
らっく
ストーリー
E182
ぺんだこ
ストーリー
E129
草間 コトリコ
ストーリー
E112
みだり
ストーリー
E072
齊藤
ストーリー
E037
安城 和城
ストーリー
E027
柿本 仁香
ストーリー
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作品ID
クリエイター名
D173
Art knows me
Play
D121
Fukane
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D020
こはむ もた
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作品ID
クリエイター名
B206
音次郎
Play
C207
音次郎
歌詞
B135
Art knows me
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C145
Art knows me
歌詞
B091
D Gairu
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C098
D Gairu
歌詞
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作品ID
クリエイター名
C207
音次郎
歌詞
B206
音次郎
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C145
Art knows me
歌詞
B135
Art knows me
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C098
D Gairu
歌詞
B091
D Gairu
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作品ID:
B206
クリエイター名:
音次郎
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作品ID:
B135
クリエイター名:
Art knows me
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作品ID:
B091
クリエイター名:
D Gairu
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作品ID:
C207
クリエイター名:
音次郎
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<防人の詩> 冷たい影 朱色の月光 先に動くか 駆け引きを待つ 神門前(じんもんまえ) 赤毛の獅子 左に阿形(あぎょう) 邪気と見極め (荒神)あらぶるかみ 蠢く(うごめく)彩光 振り上げた刃(やいば) 震える瞳(ひとみ) 防人(さきもり)とて 暗闇の路(じ) 這い進み ただ、光をせがむ 白波の、 寄そる浜辺に、 別れなば、 いともすべなみ、 八度(やたび)袖(そで)振る 紅(くれない)の獅子が舞う 朱月(あかつき)に秘められしGravity 散り行く黄桜(きざくら) 止める(とどめる)事 出来ないから 儚き(はかなき)定めと 今なお引継がれる(ひきつがれる) Fairytale(フェアリーテイル) --- 堅忍不抜(けんにんふばつ) 金城鉄壁(きんじょうてっぺき) 金剛不壊(こんごうふえ) 光風霽月(こうふうせいげつ) 防人(さきもり)とて 暗闇の路(じ) 這い進み ただ、光をせがむ 海原(うなはら)に 霞(かすみ)たなびき 鶴(たづ)が音(ね)の 悲しき宵(よい)は 国辺(くにべ)し思ほゆ 道の辺(べ)の、 茨(うまら)のうれに、 延(は)ほ豆(まめ)の、 からまる君(きみ)を、 はかれか行かむ(いかん) 紅(くれない)の獅子が舞う 朱月(あかつき)に秘められしGravity 散り行く黄桜(きざくら) 止める(とどめる)事 出来ないから 儚き(はかなき)定めと 今なお引継がれる(ひきーつがれる) Fairytale(フェアリーテイル) --- 堅忍不抜(けんにんふばつ) 金城鉄壁(きんじょうてっぺき) 金剛不壊(こんごうふえ) 光風霽月(こうふうせいげつ) 防人(さきもり)とて 暗闇の路(じ) 這い進み ただ、光をせがむ ------------------
作品ID:
C145
クリエイター名:
Art knows me
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ねぇこの雨が止んだらどこ行こうか 私たちはまだ何も知らないままでさ 言いたいことが山ほどあって どれか一つでも君に伝えられるようにと 生きてきたんだよ ねぇ明日世界が終わるなら 何をして過ごしていようか 名作と呼ばれる映画見て 「死ぬまでに」と書かれた本読んで ねぇきっと未来はすぐ側にあるのに 明日なんて容易く訪れるはずだろうに 7月のある朝 夢を売って 8月のある朝 息を呑んで 空っぽになった今日で 何を考えてここまで生きたんだろうな 分からなくなって 分からなくなって 怖くなったんだ あぁ嫌いだった 世界など消えてしまえばいいよ 青色の夏が迫り来る夜が 何よりも憎くて仕方ないや あぁ嫌いだった 君が銀河をも飲み干しそうで この瞳がまた離れなくなってしまうから 目を閉じ何も写らないように あぁもしもの話をしよう 大がつくほどの嘘を吐いて 都合いいように世界を変えて あぁ命などとっくに忘れてんだ 君のいない夏に価値などないからさ 抜け出してしまおうよ
作品ID:
C098
クリエイター名:
D Gairu
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たまたま隣だったクラスメイト 初対面ぎこちない笑顔 今となってはそれも全部 少しくすぐったい笑い話 放課後の眠たい空に見せた これからどこ行こっかって話 行くとこは大体わかってたね 二つ影並ばせて 一緒に笑い泣き 楽しんだこと どれだけ時間が経っても 変わらないこと お互い睨んで 認め合って たまには すぐ隣寝転んで 他愛ない話で盛り上がった 君のくだらない話が 大好きだった 明けない夜の独り言 振り返る懐かしい物語 帰りの時間がすぐ迫ってる まだまだ絶えない思い出話 あんなこともしたねって話 次の約束はどこにしようか 君に言いそびれたただ一言 行くとこは大体わかってるよ 一つ影震わせて 心触れ合い ぶつかった事 どんなに時間が経っても変わらない事だ 嬉し恥ずかしまた向き合ってさ 互いのことまた認め合ってさ 前みたいにまた寝転んでさ それだけでいいよ 歳を取りすぎた若い心も また同じようにさ お互い羨んで 訳あって たまにはすぐ隣腰掛けて 何気ない仕草にまた懐かしんで やっぱり結局ここが一番で なんどもまた帰るんだ
作品ID:
D173
クリエイター名:
Art knows me
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作品ID:
D121
クリエイター名:
Fukane
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作品ID:
D020
クリエイター名:
こはむ もた
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作品ID:
E287
クリエイター名:
北野 椿
無し
梅雨が明けるのを待っていたあのとき、 私たちはこの夏に起こることなんて何も知らなかった。 それまでの私たちはいつも一緒に居て、 君が投げかける「もしも」が冒険の始まりの合図だった。 二人で紡ぐ物語は楽しくて、 そんな時間がいつまでも続くと思っていた。 夏休みも終盤の八月の下旬、 私は一人、自分の部屋でノートを広げ、 カチカチと鳴らした出したシャーペンをそこに走らせた。 《もしも明日世界が終わるなら、何をして過ごすか》 《名作と呼ばれる映画を見る》 《「死ぬまでに」と書かれた本を読む》 書いた文字を見据えてから首を振って、 消しゴムでまた白紙に戻していく。 あんまりにもありきたりだ。 やっぱり君の「もしも」じゃないと素敵な物語は始まらない。 文芸コンクールの締め切りは、もう二週間と迫っていた。 書きたい気持ちはあるのに、私の頭はあの日から空っぽのままだ。 「ごめんね。私、この夏から美大の受験勉強に専念することにする」 終業式の帰り道、君が突然言ったことを、私はすぐには理解できなかった。 その月の頭に、初めて二人で自費出版した小説が好評で、 私はすっかり舞い上がっていたから、 君が何を考えていたのか、どんな気持ちで私に伝えたのなんて考えずに、 「嘘つき」とただなじってしまったね。 気まずくて、八月に入っても連絡もできずに、 私は君が居る美術室を、窓からこっそり覗き込んだ。 先生に頼んで、美術部が使わない日には君がそこで描いていることを知っていたから。 白いカーテンは開け放たれていて、人は誰もいなかったけれど、 普段は生徒でにぎわう部屋の真ん中に一つ、君の絵が飾ってあった。 香り立つような夏草、迫りくる夜に満天の星。 生まれて初めて、私は絵の美しさに息を呑んだ。 輝く星は、まるで君が銀河から持ってきてしまったみたいだ。 君は、本気で絵を描こうとしていたんだ。 目が離せなくなる私を動かしたのは、美術室のドアが開く音で、 急いで身を翻して、逃げるように家へと走った。 椅子に凭れかかって、瞼を閉じる。 でも、私も君と同じくらい、そう思いかけて、 私は再びシャーペンを握った。 《もしもこの夏、君と物語を紡げたら》 頭の中から、君が好きなものと、いくつものシーンが浮かんできた。 ペンギン、金魚、ネズミ、風船、雲、地球、幾何学模様。 さらさらとノートに走らせたシャーペンは止まらない。 夏休みが開けたら、一番に君に見せるから。 君のいない夏、それでも一緒に冒険をしよう。
作品ID:
E271
クリエイター名:
岩村 昂平
夏の終わりに
君を好きだったことだけは、覚えていた。 あれから何度目の夏だろう。 私は君の部屋を出た。 外はうっすらと明るみを帯び、遠く青青しい空が広がりを見せる。 また来るね。 あれから年月が流れた。 私の時間は止まっていたけど、彼はどんどん変わっていく。 気づくとまた、君の部屋にいた。 そっと、彼の目線に入った。 やっほー。 しかし彼のピントが私に合うことはなかった。 「どうしたの?」 君の優しい声が部屋に響いた。 何してるの? 「もう少し待っててね」 もう少しだけだよ。 彼は笑顔で、私の大好きなカレーライスを作っていた。 彼には家族ができていた。 幸せそうな彼を見るのは嬉しかった。 はずだった。 あれからまた時が経った。 7月、彼の部屋の隅っこで 私は小さく肩を震わせて泣いていた。 もうすぐ私は、消えてしまう気がした。 思い出したよ。 私、君のお嫁さんになりたかったんだね。 私はそっと、彼の目線に入った。 もうわからない。 「眠れないの?」 どうすればいいかな。 「よしよし、大丈夫?」 ……赤ちゃん、かわいいね。 私の知らない、幸せ。 8月15日 全部、思い出した。 16の頃、君は私を自転車の後ろに乗せて、 卒業したら結婚しようねって言ってくれたよね。 毎日が楽しみだった。 枕を湿らせることのない涙が溢れてくる。 今日、最後の日のような気がした。 「明日は何しよっか」 君は笑顔でそう言った。 彼の優しい眼差しは、私を素通りした。 堪らず私は、目を閉じた。 こんな世界、嫌いだな。 いっそのこと、滅べばいいのに。 そしたら誰よりも一番に、君に会いにいくのに。 紛い物の笑顔を振り絞って、涙で前も見えないのに 私は初めて、自分に正直になった。 君の喉元にそっと手を触れた。 たくさん話したいことがあるよ。 一緒にまた、あの映画見たいね。 図書館にあったあの本、持っていくね。 君が選んでくれた浴衣を着てさ、 行けなかった夏祭り、一緒に行こうね。 ああ私、とっくに死んでいたんだね。 でも私、久しぶりにちゃんと笑えた気がするよ。 待たせすぎだよ。 ばか。 ゆっくり、手に力を込めた。 やっと、上を向いて歩いていける気がするよ。 憎い夏はもう、来ないけど、 未来はすぐ、(君が)来るんだから。 部屋の隅で、君の大切な人たちが泣いている。 愛されていたんだね。 ごめんね。 でも、自分に嘘はつけないや。 私は、君と一緒にいたい。 長い間待ったよ。 どうやって、埋めていこっか。 さ、手を取って。 私と一緒に、抜け出そうよ。
作品ID:
E266
クリエイター名:
nmenだよ
カプセル少女
カプセル少女は涙を流した君の下にやってくる。 溢れた雫が弾けて彼女は誕生する。 今日は、乾いた晴れ空の下涙を流した少女の前に現れる。 「もう現実を見たくない」 そう涙を流した文学少女、咲の前にカプセル少女は生まれる。 「名前は?」 「咲」 「どうして泣いてるの」 「もう現実を見たくない」 「何で」 「あたしには、才能なんてなかったんだ」 ゲートが開かれる。 そこは、桃源郷のような世界。 たくさんの空想物。 たくさんの面白いもの。 「ここはあなたの世界」 「わあ」 「好き?」 「うん、でも、上手く文章にできないの」 「大丈夫、 あなたがこの世界を好きでいれるなら あなたはあなたを好きでいて良いんだよ」 雨が降り始める。 「雨だ」 たくさんの空想物がとけていく。 「嫌だ」 咲はその光景を見まいと逃げようとするが 少女は引き止める。 「だめ、逃げちゃだめ 見ててごらん 心に降る雨は 君の世界を大きく強く逞しくしてくれるん だよ とけたものたちは地面に吸収される そうやって育てられた根は誰よりも広く 張って やがて大きな木となる そうして、とてつもない雨が降って来た時 みんなを守ってあげられるんだよ ほら、こうやってたくさんの花が咲いてい くんだ」 大きな木の下に、たくさんの花、空想物 「わあ」 咲の手を握る。 「書かなきゃ、書いて書いて書いて 何度も挫折して そうやって君の幹を作っていくんだよ」 落ちていた枝を取り ペンに変化させ咲に渡す。 「ペンを取れ、咲」 現実に戻り、 彼女が消えた後は必ず雨が降る。 でもそれは涙を流した人の養分となる。 そうして人は強くなる。
作品ID:
E254
クリエイター名:
室井 雅琉
なし
↓ Read from top to bottom ↓ 君は既にどこかへ行こうとしてた。 行きたいとこが山ほどあるのに。 言いたいことが山ほどあるのに。 色々と遅かった。それでも尚、 世界から遁走しようとする自分の非力さを恨む。 君は腐りきっていた私を見捨てなかったんだ。 その時だけ、確かに君はそこに居た── 「貴方の人生は明日終わります。何をしたいですか?」 聞き覚えのある声が私を現実に引き戻す。 授業中だった。 構わず夢を見る。私が死ぬ前にしたいことは── 単に名作と呼ばれているだけの虚構をかき集め、 読み漁りたい、と思う なんて馬鹿げた話だ。 死んだら何もかも無かったことにされる 理不尽な機構のなかで生きて、 そもそも私は何がしたいのか。 何をしても無駄ではないのか。 果たして生きることに意味なんてあるのか? ──なんて考えるのは野暮だろうか。 それでも、私は気の済むまで好きなことをしたい 現実を見なければならない、とふと思った 今日という日は無意味だ。 何よりも大切な君が何処かへ消えてしまったから 今迄どうやって生きてきたか。 何のためにどうしたのか。 動機、過程、理由── 何一つ覚えているはずもなかった。 何一つ、考えることができなかった…… あの日、君が病魔に苛まれている中、私は じっと君の心拍計を見ていた。 君の生命は長くないと知って、 もう、何もかも、どうでもいい気がして。 今まではそうじゃなかったんだけどね。 夏が嫌いなんだよ、私は。 皆が揃い揃って好きな人と楽しんでいるから、 「好き」の記憶を喪って以来、 恨めしくて恨めしくて もう皆が どっかに消えてしまえば良いのに、とさえ思った 私は、自分が 愚昧であることにやっと気付いた が、愚かな自分とは未だに向き合えなかった。 現実逃避なんてしたくなかった 私は、君以外誰も見えないふりをした。 私が寂しくならないように 君は優しさだけ渡してくれたんだ。 しかし、いつまでも過去に篭っていたい私に 世界を正しく見る気力なんてない。 今は、君のいない、気が遠くなるような 夏はさっさと終わらせてしまえばいいと思う。 君がいないから耐えられない じゃあね 私、この不条理に耐えきれないの。 ↑ Read from bottom to top ↑
作品ID:
E235
クリエイター名:
らっく
なし
凡庸な価値観で私を縛るな! 心の底で叫んでやった。 「情けない」 心の底では叫んでいたが、実際に出た言葉は自分の力不足を呪うものだった。 スーツを着た無表情のサラリーマン。見たことあるファッションで個性を出そうとしている女子高生。大声で強さをアピールするお兄さん。皆凡庸で、同じに見える。 私は私だけなのに、人と同じ太陽をうっとうしく感じながら、信号が青に変わったら、遅れないように気を付けながら一緒に歩く。そんなことって当然で、私ではどうしようもないルールなのだけれど、そんなことはわかっているけれど。 くしゃっと握りしめたのはゴミではなく、進路希望調査票。昨晩、自分なりに調べて書いた希望だった。しかし私の話なんて聞くつもりがない大人たちによって、この紙はゴミになってしまったのだ。 持ってるカバンには、書き直しを命じられた白紙。進路希望、だなんてよく言ったものだ。最初から同意することが前提の誓約書に近いものだろうに。 「はあ」 ため息は、街の雑踏にかき消されて消えてしまう。 それでもこうして立っていれば、誰かが見出してくれて、舞台へ上がれて、人気者になって、あの看板の次は私の番になって、そういう妄想ができる。 「この感受性は武器だ」 私は強く決意して、小さなメモ帳を取り出した。 今、困難にぶつかり、こうして妄想したすべてが武器になる。人に伝えるべき言葉を、宇宙よりも広く、深く探索し、研ぎ澄ませていく。 進路希望調査票なんて要らない。私は自分がなりたいものがしっかり見えているのだから。だから、あとは誰にも止められない速度で走り続けて、世界に私を認めさせるだけなのだ。 高い集中力だった。世界は暴れだし、見たいもの、伝えたいことだけがあふれていく。そのインプットに負けないように、ペンを走らせ続け、言葉をつづる。 言葉でもって、私をしばりつけてくる鎖をやっつけるのだ! 世界は収束して、気が付けば目の前は赤信号。 「うん、よし」 カバンにメモ帳をしまうと、信号が青に変わった。誰よりも先に飛び出して、私はずんずん歩き出す。 「明日も戦っていこー!」 上を見て歩いていたせいか、信号が変わるギリギリにスピードを上げて交差点に入ってきた車に気づかなかった。黒くて大きな高級車。運転手とはっきり目があった直後、強い衝撃があって、私の体は重力から解き放たれて、宙を舞っていた。
作品ID:
E182
クリエイター名:
ぺんだこ
なし
そうこれは、ただの日常の話。 いつか聞いたことがある。ような気がする。 夏の空には入道雲と、飛行機雲が、青い空に映えていた。 うんそうだ、もうずっとこんな機械仕掛けの空だけど。 青い色は変わらない。変えたくない人がいるんだ。 雨が降る。 青がけぶる。 空の向こうの話も、昔はよくわかっていなかったんだ。 たとえば銀河の果てに、君が向かうなんてことも起こるはずがなかった。 あの夏なら。 数十年前の2021年なら。 世界は続いていて。 これからもそう在りたいとみんな当たり前のように望んで。 だからなんもかも、おかしい日常になっちゃった。 いっそ終わっちゃえ。 女学生の心の叫びだ、耳に痛いかい? そうだ、そんなことないよね。 こんな叫びを聞いてくれるのは、君しかいなかったんだから。 進路希望書を未提出のまま、破ってみせた7月と。 変わらずやってきた8月の面談と、教室から逃げたセーラー服。 うんそうだ、決めた! 君と逃げてしまおう。 暑くてめんどうな雨まで降ってきて、つまりは逃避行日和。 旅のおともにぺんぎんくんを連れて。 そうさこいつは枕がわりにもなる良いやつなんだ。 ねえ、そうだろ。 そうすれば全部よかったよね。 これは日常の話だ。 ただの、もう君がいってしまったあとの、日常の話だ。
作品ID:
E129
クリエイター名:
草間 コトリコ
君の音色、僕の嘘
ねぇ、この雨が止んだらどこへ行こうか。問いかけると、「ここがいい」と君は答えた。 「一緒に、蝉の声や風鈴の音に耳を傾けているのが好き」 貸してくれた本も映画も面白かったけどさ、と目を細める君に伝えたいことはたくさんあるのに、やっぱり何も言えなくて、僕は指先に目を落とす。ピアノがあったらいいのに、と思う。 僕の奏でる音階の全ては君から生まれた。片足立ちで跳ねるスタッカート、付点音符のスキップ、変ロ長調の笑顔。去年の秋を過ぎた頃、トレモロのように君は先へ先へと生き急いで、夏を迎えた今、ピアニッシモで囁くように君の命は燃えている。弾くことでしか表せない僕の悲しみに、喜びに、いつだって耳を傾けてくれたのは君だった。だから僕も最後まで、君の鼓動が刻むリズムに耳を澄ましていたい。 ひぐらしが鳴き始める。チャイムが面会時間の終わりを告げる。窓の外へ顔を向けたまま、ぽつりと君が呟く。 「今日も、弾いてないんじゃないの」 一日でも練習を怠ると、指は鈍る。でも、と僕は手の平を結んだ。君がいないかもしれない世界は、僕にとって世界なんかじゃなくて、君がいなければ、僕の音楽も消えてしまう。 「また明日」 手を振る君へ空っぽのまま手を振り返しながら、一緒に迎えられない明日なんて、明日じゃない、と唇を噛む。どんなに抗っても時は過ぎ、その日はやって来てしまうとしても。 雨で洗われたまっさらな空に星が瞬き始める。いつか、星空を見つめる君を見つめ、浮かんだ旋律を書き留めた。ひとりぼっちの部屋で鍵盤をそっと押すと、まるで君がすぐ隣に立っているようで、僕はひとりじゃなくなった。 明日が来る前に、あの曲を聴いてもらいたい。 僕は歩みを速めた。電子ピアノ背負って、会いに行こう。こんなに星が綺麗な夏の夜は、もうないかもしれないから。きっと病室の窓は開いていて、夜風に乗って届いた音に、君は顔を出す。銀河を飲み干したように君は、眩しく青く光るだろう。 僕は駆け出した。本当の気持ちは何一つ口にできないけれど、指先から、僕は嘘を吐き続けよう。君の全てを旋律に変え、いつまでも奏で続けよう。 担いだ電子ピアノを下ろし、君の窓と星空を見上げる。 あぁ、これはもしもの話。もしも明日、君の世界が終わっても、僕は新しく君を奏でる。ずっと、何年後も。だからどこかで、いつかみたいに、君は笑って。 鍵盤へ指を下ろす。
作品ID:
E112
クリエイター名:
みだり
無し
夢を見ていた。 夢だと、分かった。 だってとっくに通り過ぎたセーラー服着てるし。 ふよふよ浮かぶシャボン玉には私の好きなものが入ってるし。 こんなの現実じゃありえないから。 「うん、これは夢だ」 一番青春してた頃の姿で、好きなものに囲まれるなんて。 「……お迎えでも来た?」 苦笑いする。 そんな無茶をした覚えはないのだけど。 それに、こんな可愛い三途の川があるものだろうか。 ぱちんと、視界の端で割れるシャボン玉。 「あー、あれには何が入ってたっけな」 割れると、思い出せなくなるらしい。 好きだったはずだけど。 これ全部割れると、どうなるのやら。 「それよりもさー……」 見渡して、溜息が出る。 君の後ろ姿、笑顔、手を繋いだあの日、抱きしめられた温もり。 「あーあー……もう勘弁してよ」 もう私もいい歳だっていうのに。 あの日の君のことばかり、シャボンにゆらゆら。 「恨むぞー、ほんと」 慌てん坊の君が私を置いていくから、私の好きが未だに君だらけ。 「我ながら未練がましい」 と口にして見ても、シャボンが減るわけでもなし。 減ったらそれはそれで、ちょっとショックなわけだけど。 「ねー、そっちでちゃんとさ。君は待ってくれているのかな」 『待ってるから』なんて言葉を信じて生きてみたけど。 『たくさん話を聞かせてね』なんて言葉を信じていろんなことをしてきたけれど。 「割れるなよー。私の記憶」 ぱちんと弾けて、零れてく。 君に会う時に、話せることは残っているかな。 「まぁ、減ったら増やせば良いだけか」 自己解決。 空っぽだと君に叱られちゃいそうだから。 君がいなくてもちゃんと生きたぞと舌を出してやるために。 どれか一つでも君に伝えられるように。 だから。 「もう少し、そっちで待っててよね」 私を置き去りにしたんだから。 数十年待つくらいの甲斐性は見せてもらわないと。 君のいない夏に価値なんてないと嘯きながら。 私は今年も夏を謳歌するよ。
作品ID:
E072
クリエイター名:
齊藤
夏未遂
君が私を飲み干せたなら、私は君を世界とする。 胃の中で酸っぱく溶けながら「憎いね」と君に叫ぶから、君はただそこにいてくれるだけでいい。笑う必要もない。 すべて私の、利己的な思考世界です。忌憚なきご意見を、と君の気持ちを伺うことはできない。もう君はこの扉を叩かないから。それをいいことに君を信仰して、勝手に私の杖としました。君は私を飲み干せないから、私は君を憎む理由をでっち上げられなかった。君が私ごと消化してくれれば、美しいはずの入道雲を前に目を瞑ることも、夏の匂いに眉をひそめることも、なにもしなくてよかったのに。 朝が来るまで窓のそばにいた。暗くてなにも見えやしない外を眺めて、窓から這い出してやろうかと思案した。なにもかも放棄して走ったところで、窓の外だって世界の内側だ。 この銀河すべてが嫌いだったけど、君が足をつけている地面のたった数十センチ、その範囲だけはなによりも美しかった。だから俯いてばかりいました。かつて君にかけた言葉が、網戸からとめどなく溢れていく。下を向くことがなによりの救いだったから、地を睨んだまま此処から出るよ。
作品ID:
E037
クリエイター名:
安城 和城
『ホロウバルーン』
ぺちぺち、ぺちぺち。 目を覚ますとペンギンがいた。そのペンギンの手、あるいは翼が、私の頬をはたいていた。 「起きるのです」とペンギンは言った。「起きて、制服を着て、学校へ行くのです」 つるりとした夏用の掛け布団は、ベッドの下に落ちてしまっていた。寝ぼけ眼の私はそれを拾い上げ、自分の腰に乗せる。 「夏休みは終わったのです」 二度寝しようとする私に、ペンギンは絶望的な事実を突きつけてきた。 「昨日から学校は始まっています」 昨日。そうだ、夏休みが終わって、すでに一日経っているんだ。 「もしかして、昨日も起こしに来た?」 ふと思い出し、私はペンギンにそう訊ねた。 「それはたぶん、別のペンギンです」 「そのペンギンは、どこへいったの?」 「破裂しました」 「破裂した?」 「ファーストペンギンの宿命です」 「そうなんだ」 ペンギンの世界も、なかなか厳しいんだ。 「起こすのに成功すると、願いが一つ叶うのです」 訊いてもいないのに、ペンギンは勝手に説明を始める。 「その代わり、失敗すると、破裂してしまうのです。風船みたいに」 ぺちぺち、ぺちぺち。このペンギンはきっと、『北風と太陽』を知らない。 「……それで、きみの願いはなに?」 仕方がないから話を振った。ペンギンは、しゃべっている間は、はたくのをぴたりと止める。 「世界を変えます」 「どんなふうに?」 「良い感じにです」 話が、終わる。 「えっと……、空は、飛べなくていいの?」 「そら」 苦し紛れの私の質問に、ペンギンはまるで、知らない単語が出てきたみたいに呟いた。 「鳥なのに、空を飛べないことは、気にならない?」 噛み砕いて質問し直す。するとペンギンは、「学生なのに、学校へ行けないことは、気にならないのですか」と、鋭利な質問を返してきた。 「気にならないよ」 「そういうことです」 「そうみたいだね」 私は掛け布団を引っ張り上げ、頭までをすっぽり覆った。 「また明日」 「明日があると、思うのですか」 「ないの?」私は思わず布団から顔を出す。 「少なくとも、わたくしには、ないようです」そう言って、ペンギンは音もなく破裂した。 起きたほうがいいのかもしれない。起きて、制服を着て、学校へ行けば、世界は良い感じに変わるのかもしれない。 でも、『あの夏には戻れない』。 ……思えばペンギンは、去年も、一昨年も、来ていた気がする。 夏の終わりに、空虚を孕んで。
作品ID:
E027
クリエイター名:
柿本 仁香
なし
広い空が苦手だ。全てを吸い込んでしまいそうで、君さえを奪ってしまいそうで。 「来年こそ一緒に花火行こうね!」 一番わかっているはずの君が口にした無責任は、雨の音にかき消された。 最近まで、明日は羽毛のように軽いものだとだと思っていた。蝉の声が響き始める頃は、幸せな未来はすぐそこにあると希望に満ち溢れていた。 それは夕立のように突然だった。息を呑む間も無く絶望が身体を支配する。 もしもがいつ来ても良いように、全米が泣いた映画を観て、手に取りもしなかった本を読んで、後悔だけはしないように生きてきた。まだ、心のどこかで未来を買い直せるのではないかと思っていた。 いつか二人で屋上に上がって空を見た、僕は君の瞳から目が離せなくなった。 「ねぇ、私の顔に何かついてる?」 「星を見てた」 君の瞳に広がった銀河には、夢も希望も、未来さえあった。もしもがいつまでも来なくて、空が青く染まる度に今日を憎くむ覚悟もいらなくなって、言いたいことをゆっくり伝え合うことができる世界が訪れる気さえした。 今もまだ、目を閉じると瞬く星がある。君のいない夏など文字のない小説のようだと思った。 君に花を手向ける、 「君がいなくても大丈夫だよ」 誰のためにもならない嘘を吐いた。