“ねぇ、また天体観測？” “おう！今日は天気がよかったから、 きっとめちゃくちゃキレイに見えるぜ〜” “ふーん…本当に好きなんだね” “まぁな。 いつか星になって、宇宙を散歩するのが夢だからな！(笑)” なんだそりゃ…壮大な夢だな…と思いつつも 私は 子どもみたいにキラキラした瞳で 望遠鏡を覗きこむ彼が大好きだった。 ー 深夜0時。 床に寝転がり、天井を見つめる。 私の部屋の天井からは 彼から誕生日プレゼントで貰った、 惑星型の可愛いブルーライトがぶら下がっている。 私が好きな淡いブルーと、彼が好きな宇宙。 　 それは、じんわりと、優しく光を放つ。 すっと手を伸ばせば まるで宇宙に行けるような気分になる。 「はぁ…」 涙が頬を伝う。 そう。 本当に、宇宙まで行けたら。 会える気がするから。 夏の終わりになると思い出す。 星空に包まれながら 目を輝かせて 望遠鏡を覗きこむ、あなたの横顔。 　 私は今日も 淡いブルーの光に包まれながら そっと目を閉じて 目の前に広がる満天の星空の中を漂う。 そして 夢の中で、あなたを想うんだ。 image song : B322(夏目咲希さん)

ただ静かに空を見る。 寝転がって見る空は、僕が作った偽の空。 水星　金星　地球に火星　木星　土星　天王星　海王星 冥王星だってくわえて良い。 きっと孤独な冥王星。 独り寝転がる僕のよう。 愛おしい天に僕の手は届くかな？ この偽の空には届くけど。 部屋の外では月まで行く人がいると言うのに僕は……。 ここが良い。 ここで静かに空を見る。 それで幸せだと思っている。 それが幸せだと思っている。 けれど時折夢を見るんだ。 寝転がっているはずなのに背に当たるモノはなにもなく。 ただ広い天を流れる星になる。 水星　金星　地球に火星　木星　土星　天王星　海王星 色んな星を旅する流れ星。 あとほんの少しの距離。 それだけで星に届く距離に僕はいる。 けれど手は届かない。 だって本当の僕は寝転がったままだから。 外に出よう。 外に出たい。 偽の空だって好きだけど、 いつかは本物の天に昇ろうと。 僕は体を起こして外を見る。 窓から見つめる先は夜。 小さな宝石色とりどり。 僕はいくつも輝きを受けとって、 ただ心にしまうだけ。 だから返そう。 僕の心を天の星に。 届ける心はせめてカラフルに。 沈まず曇らずカラフルに。 さあ、部屋のドアを開けて外に出よう。 偽の空にはバイバイを。 僕はただ希う。 本物の天を希う。 待っているだけでは手の届かぬ天を希う。 僕は往く。 まだ届かぬ天を夢見て、 翔（か）け出そう。