作品ID:A046
クリエイター名:
有光 莞司
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クリエイター名
E329
はーく
ストーリー
E323
8兵衛
ストーリー
E236
羅
ストーリー
E186
satori
ストーリー
E178
伊佐坂 気楽
ストーリー
E168
水司馬 よう
ストーリー
E115
夢島 蘭
ストーリー
E023
四季 夏
ストーリー
E006
こま
ストーリー
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作品ID
クリエイター名
D299
8兵衛
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D298
Rin♡
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D248
音翠 アイラ
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D229
慈雨
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D218
いかの塩辛
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D159
Melefiele
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D155
mukumin
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D099
サコス
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D094
みそら 虹花
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D044
こま
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作品ID
クリエイター名
B065
satori
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C069
satori
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クリエイター名
C069
satori
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B065
satori
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B065
クリエイター名:
satori
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作品ID:
C069
クリエイター名:
satori
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雲足早く 伸びる影 囁く風 終わりはいざ知らず 巡り巡る命 何処か遠く近いところ 幾星霜を越えた先 映え映えし桃源郷 まだ届くこと あたはずとも 淀みに浮かぶだけの泡沫 産まれ 老いて 君1人さ 歩き疲れた眼の先に 何があるというのだろう あの山越えて 当て所ない日々は続く 果てはあるのか 時は流れ行く 左様ならば 行方知れず 崩れる日常は夢現 灰色の町 それでも空は青 淀みに浮かぶだけの泡沫 産まれ 老いて 君1人さ 歩き疲れた踵の跡を 誰が笑うというだろう 誰が笑うというだろう 突然始まった世界だから 終わりもきっと遠くない いつか届く心のまほろば 今より高く飛べたら 見つめる眼差しの奥にある 空も光も君のもの 世界が瞳を閉じるその日まで 遥かな旅路は続く 夢の終わりを見に行こう キスト イスカ マタアオ キスト イスレ アタラヨ
作品ID:
D299
クリエイター名:
8兵衛
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作品ID:
D298
クリエイター名:
Rin♡
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作品ID:
D248
クリエイター名:
音翠 アイラ
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作品ID:
D229
クリエイター名:
慈雨
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作品ID:
D218
クリエイター名:
いかの塩辛
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作品ID:
D159
クリエイター名:
Melefiele
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作品ID:
D155
クリエイター名:
mukumin
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作品ID:
D099
クリエイター名:
サコス
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作品ID:
D094
クリエイター名:
みそら 虹花
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作品ID:
D044
クリエイター名:
こま
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作品ID:
E329
クリエイター名:
はーく
無し
男は愛馬に乗ってゆっくりと歩を進める。 この惑星(ほし)はもうすぐ終わる。 随分前から観測されていた隕石群がとうとう地表に落ちてくるのだ。 初めてこの世界が終わることがわかったときは震撼した。 全人類が慌てふためいた。だけど、それがくるまでにまだかなりの時間が残されていることも同時に分かり一旦は安堵の表情で満たされた。 そこからは激動の日々。このまま何もせず見守る派、隕石自体を破壊し滅亡を回避する派、宇宙へ飛び出し新たな星を目指す派。 もうすぐ終わるというのに内紛で世界は荒れた。だけど、最終的には新しい星へ旅立つことが決定した。 やっと全人類の方針が決まった。それでもまだ時間は十分にあった。 悲しいけれど戦争により技術は革新的に進みそれを転用して宇宙開発へと舵を切るのにそう時間はかからなかった 全世界の技術者、科学者が一堂に会しノアの方舟計画は滞りなく進んだ。試運転を繰り返し、完成しても尚時間は残されていた。 少し先に旅立った先遣隊が移住先に最適な星を見つけ少しずつ星間移住の計画も進んでいった。まだ時間はある。 それから少しして隕石群が船が飛び立つのに邪魔になる距離まで近づく日すら計算できるようになった。 もう新しい星で暮らし始めた人たちもいる。街が出来たところだってある。別れを告げるには十分な時間だった。 それでも移住に対して消極的な人たちはいた。そういうものは留まることになった。 この星とともに終わる選択をして残った人々の小さな集落をめぐりながら終わりを見るために最期へと向かってひた歩く。 彼の目に絶望はなく空高くあがっていった仲間たちの希望を見上げていた。
作品ID:
E323
クリエイター名:
8兵衛
無し
この世界はあとひと月で終わる、そう唐突に頭に響いたのが数日前。 よそは知らぬが男の住んでいた村人全員がその声を聞いたらしく、混乱もあったが昨今の頻繁な地割れや豪雨、紫に染まる空など、異常気象を鑑みると真実やもしれんと、皆諦めの境地に入った。 世界が終わるというのだからお前も自由になれと自分の馬を野に放とうとしたが、結局傍を離れようとしなかった。 嫌がるように振るその首に手を添えると、いつも傍にあった真っ黒な眼が見つめてきた。男はその温かな栗毛を愛情深く撫で、彼女と共にひと月分だけの食料を持って村を出ることにした。 他の皆は村に残って最期を迎えるそうだ。 折角世界の終焉が見られるというのに、惜しいことだ。この世界が始まってから未だかつて、それを見た者はいないというのに。 「素晴らしい景色だな」 異変は東の方からやって来るようだった。 男はかつて行商のためにこの地を通ったことがあったが、彼の記憶にある景色は最早そこにはない。荒野を進んできたかと思えば唐突に緑の草原が広がり、遠くに聳え立つ雪山のすぐ後ろには、真夏のような青い空に湧き上がる入道雲。 同時に存在するはずのないものが、今まさにこの眼前にあった。 そして何よりも、空を奔る流星群の碧い光を映す、大地に突き刺さる巨大な柱たち。世界を支える柱というやつだろうか?もう役目を終えるからと姿を現してくれたのだろうか。 生まれて初めて見る風景に男の心は終始高揚していた。 「こんなのは本当の最期にしか見られないぞ。俺とお前の二人占めだ、なぁ」 そこでふと、いや二人ではなかったかと視線を上げる。 村を出た頃から一羽の鳥がついてくる。随分上の方を飛んでいるのではっきりとは見えないが、真っ白で美しい鳥が。 森が切れてから羽を休めるような止まり木もないのだが、不思議なことにその鳥はずうっと飛び続けている。 まるで男の行く先を見守ってくれているかのようだ。 確か鳥の姿をした女神の伝説があったっけ、と男は思い出す。美しい声で歌うというその女神は、魂を運ぶという。 「魂か。どこへ運ぶんだろうな?できれば世界が終わるまでに、その美しい歌を聴かせてほしいものだが」 まぁいい。もしあれが本当に女神であるにせよ、今は貴重な旅の友だ。 「大丈夫か?行けるところまで行こう」 応えるように首を振る愛馬のたてがみを撫で、男はまた前を向いて目を細めた。 「いい風だ」
作品ID:
E236
クリエイター名:
羅
なし
一人にしないで。 誰か! 誰かっ!!― そこは、廃墟になった。 少し前までそこに存在していた町が、ゆっくりと風化していったのだ。 ゆっくり…その言葉は正しいのだろうか。風化する様は、本来じっと見ていても認識できるものじゃない。時間は、速く流れている。でもやっぱりゆっくりと― コンクリートの崩れ落ちた灰色の世界に引きずられて、気分もどんよりと灰色に染まっていく。なのに… なのに空はずっと青い。 眩しい程に、眼の奥へ、身体の奥へと染み込んでいく程に青い。 私は突然この世界にいた。青い空、白い雲、緑の森、川や湖、動物、虫、生命力に満ち溢れ、たった今産まれたみたいな、そんな世界だった。そして、遥か先の空に、ぽっかりと開いた空間があり、そこに、私のいた世界が映し出されていた。それはまるで、開かれた瞳の奥から、元いた世界を覗き込んでいるかのような光景― 私はとにかく、空の瞳へと歩き始め、そして、長い、長い、遥かなる旅路へと向かったのだ。 時間の流れが速いことに気付いたのは、しばらくしてだ。あれだけ生命力に満ち溢れていた世界が、ゆっくりと老いていくようだった。 多くの生命が、産まれては消え、産まれては消えを繰り返し、動物がいなくなり、虫がいなくなり、森は消え、水は枯れ、土へ、砂へと還っていった。 人はいないのに、人工物が度々現れては土へと還る。まるでまほろばのように。 それでも、空の瞳は、変わらずそこにあった。近づいているのか、遠いままなのか、それはわからない。もう、何度目の山だろう。 もっと、高く、空を飛べたなら… ふと振り返る。引きずった踵の跡が、ミミズのようにのたくっている。手を見ると、皺々に枯れている。世界に比べてゆっくりとではあるが、私自身も老いているのだ。 …笑えてくる。他の誰かが見たとしても、笑ってしまうだろう。 他の…だれか… 誰が、笑うというのだろう… 誰が、誰が、誰がっ! ……誰か…! なんて、ちっぽけなんだろう… こういうのを泡沫というのだろうか。 青い、空を、そこに浮かぶ瞳に、眼差しを向けて、私はゆっくりと立ち上がった。 突然この世界にいたのだ。突然あの世界に戻っているかもしれない。あそこに見える空も、光も、私のものだった。 諦めない。あの青い空に浮かぶ瞳が閉じられるその日まで、私は旅を続ける。 たとえ届かずとも、夢の、終わりを見るんだ―
作品ID:
E186
クリエイター名:
satori
無し
『おい、人間。』 カラスだ。カラスが私に話しかけてきている。 ドッキリにしては中々のクオリティだ。 遮蔽物のない田舎の一本道、カメラも周到に隠されている。きっと中々の製作費をかけているのだろう。 うだつの上がらない人生、テレビに出られる機会なんてそうそうあるもんじゃない。ここは思いっきり話に乗って爪痕を残してやろうではありませんか。 私は中学生の頃から愛用している自転車のブルースリー(青の3号)を止め、小さなお客様との対話を試みることにした。 「こんばんは、カラスさん。オガタと申します。血液型はA型ですがね。ははっ。」 ウィットに富んだ渾身の自己紹介を華麗にスルーした黒い塊は話を続けた。 『もうすぐ世界が終わる。疫病が蔓延し、身体を守るはずの免疫細胞が暴走する。免疫ブレーキは故障し、ただの風邪で済んでいたものが全て死に直結する。生き残った者たちは醜い権力闘争を始め、それを見かねた神が世界を終わらせる。』 神様まで出てきちゃった。 「ご丁寧に教えていただいて大変恐縮ですが、それを聞いた私はどうしたらいいですか?いっちょ世界でも救いにいきますか?」 カラスは答えた。 『きまぐれで教えてやっただけだ。どうせすべて滅ぶ。』 そういってカラスは夕空へ帰っていった。 撮れ高は十分だっただろうか。 しかし待てど暮らせどドッキリ大成功の看板を持った美女はやってこない。 ダマされた。手の込んだいたずらだ。 帰ろうブルースリー。 愛馬に跨ると急に頭がクラクラし始めた。 夕焼けは不快なほど眩しく、目を閉じても万華鏡のような光の洪水が私を襲った。 光は一点に収束し、目を開くとそこは見たこともない大草原だった。 「マジ草」 真横から荒い鼻息が聞こえる。 あまりの面白コメントに鼻を鳴らしてしまうのも無理はない。 隣に目をやるとサファイアのような青い瞳を持った馬が私を見つめていた。 ブルースリーと名付けよう。 ドッキリでなければどうせ夢だ。 こんなリアルな夢はそうそうあるもんじゃない。 このまま夢の終わりでも見に行こうではありませんか。 「走れ、風のようにブルースリー!」 『指図するな。』 「ぁ、君もしゃべるんだ。」
作品ID:
E178
クリエイター名:
伊佐坂 気楽
なし
今日も成仏された人々の魂が青空を横切り何処か彼方へと落ちていく。岩の塔に囲まれた国の景色を男は馬に跨って眺めていた。 死者の夢に潜り、その魂を癒す者『彼岸の旅人』。それが彼の仕事だ。黄泉の住人と語らう力と引き換えに故郷に帰ることが出来ず、どの国にも留まることを許されない宿命を背負っている。彼にとっては、この世界そのものが異郷だった。 自分がこの力を得たのはいつからだっただろうか。男は今まで何度も自分にしてきた質問を性懲りもなくしてみた。あれは確か祖父の葬式だ。今でも覚えている。自分はその時まだ小さくて『ちゃんとしなきゃ』と張り切っていたのに大人たちがペラペラ喋っていてガッカリしたっけ。確か俺は母親に促されて『お爺様に最後の挨拶をしなさい』って言われて爺さんの顔を見たんだ。そしたら爺さんが光っていて驚いて、気を取り戻した時には知らない所にいたんだ。変な場所だった、現実じゃありえない。 爺さんは檜舞台の上にいた。机の上で仕事をしている。美術セットの方もなんだか色々と奇妙で、天井から爺さんの家が吊るされていた。爺さんが不自然に動いて上司に何やら報告をしに行く。よく見ると爺さんにも天井から糸が通っていて、そいつが爺さんを動かしてた。俺はその様子を舞台袖から見ていた。けど俺は感覚で理解していた。これは夢で、それも爺さんの心の世界が見せている夢ということを。俺はそのまま何もしないで夢から醒めた。そして両親から絶縁を言い渡され『彼岸の旅人』となるべく1人前になるまで師匠について旅をした。その俺も今や1人だ。1人前というわけだ。 『お兄ちゃんはいいね。自由で、人生に意味があって。』 男はいつか夢を訪れた少女のことを思い出した。彼は何も言い返すことができず自分の宿命に対する不満や愚痴を少女にぶつけることしかできなかった。だが彼女は成仏をし、青空を駆ける清浄な魂となった。ふと天啓を授かったかのように考えが浮かんだ。 きっとあの子は人生に意味なんてあったら息苦しくなるって思ったんだ。何かをしなくちゃいけないなんて、なんて惨めなんだろうって――。 男は自分が自由になった気がした。心が温かく満たされていく。だが、それもすぐに冷めた。うんざりするような不安に心が支配された。 『俺は――。』 男が再び空を仰ぐと、そこに流星となった死者の姿はなかった。かつて地上の水だった雲は今日も静かに流れている。
作品ID:
E168
クリエイター名:
水司馬 よう
無し
---砂漠を抜けたか。 旅人は言う。 ここは様々な環境が混在した不思議な孤島。 緑豊かな森の横には氷山が並び、湖を挟んだ先には砂漠地帯が広がる。 氷山の下に広がる雪解水の湖が、あらゆる生物の命を繋いでくれている。 風は僅かばかりだが雲の流れは速く、異常に隆起した地が島を囲うようにそり立っている。 しかしそれも、産まれ落ちた時からこの島で育った旅人には、何も不思議なことではなかった。 ただ、もっと世界を見てみたい、旅人はそう思っていた。 旅人は自分の親を知らない。 旅人が物心をつく前に、自然災害で亡くなった。 こんな環境の島だ。珍しいことじゃない。 その後は、親と暮らしていた小さな村の、とある民家に引き取られたのだ。 育てられたと言っても、人ひとりが食べていくのもやっとな世界。 ましてや他の子となれば、愛情とは無縁の生活。 頼れる仲間と言えば、引き取られた家で面倒を見ていた、家畜の馬だけだった。 ---旅に出よう。 旅人はそう思った。 この大きな島の小さな村しか知らない旅人は、この島のどこかに、まるで桃源郷のような世界があるのではないか、そう考えていた。 産まれて、老いて、ただ死にゆくだけのこの命。 ならば果てを見に行こう。 そう思い、旅人は愛馬を連れて旅に出た。 幾星霜、果ては見えず。 凸凹な道では馬を降り、連れて歩くのも一苦労だ。 山を越え、歩き疲れ、意識が朦朧とする最中、旅人が見たのは荒廃した町だった。 倒れ込む旅人。それでも空は青し。 輪廻のように終わりの見えないこの旅の先に、一体何があるというのだろうか。 旅人は後ろを振り返る。 歩み続けてきたこの旅路に何の意味があるのだろうか。 呆れて笑う者もいないだろう。 知らぬ間に産まれ落ちて始まったこの世界だ。 終わりもそう遠くないだろう。 ふと旅人は天を仰ぐと、生を感じた。 眼に映るこの空も太陽も、すべて自分が見ているもの。 何を見て、何をするかも、すべて自分が決めるもの。 そう、この世界は、自分のものなんだ。 ならば、この眼が永久に閉じるその日まで、旅を続けるのも悪くないだろう。 旅人の心は、不思議と希望に満ちていた。 旅人は、今まで味わってきた飢餓や愛情のない悪夢のような生活を思い返して言った。 ---さぁ、夢の終わりを見に行こう。
作品ID:
E115
クリエイター名:
夢島 蘭
終わりのない道
私はやっと、君に会いに行けるようになったよ お父さんもお母さんも、犠牲になってくれたんだ そのおかげで、私だけが今生きている 昔の君と同じだね 私はやっと、この荒廃した国を抜けたんだ 今は緑が生い茂る、穏やかな土地にいるんだ 君がいる平和な国も、きっともう少しだね 私はまだ、この地を抜けられないの もう百歩千歩と歩いたのに、まだ景色が変わらないの お父さんとお母さんの呪いが、足を重くするんだ 何年も経って、僕の大切な人は君だけになっちゃった ねぇ、君のところまで、きっとあと少しだよね 私はやっと、君のいる国にまで来たよ 君のことを探すよ、たとえどれだけ辛くても ねぇ、もうすぐ会えるよ 君は私のこと、覚えているかな -世界から色が消えた- 私は辛かったよ けど、君を責めるに責められないの 何もする気力が起きなくて、ずっと座っているの 私って、君の近くにいてもいいのかな どうしたらいいのか分からないよ -でも、蒼色の光は私を照らしている- 私はまだ、幸せを掴もうと思うよ また君が私を振り向いてくれるよう、全力を尽くすよ 無謀だとは知っているけど 君が嫌なのは分かっているけど それでも... ーーごめん 君は私を拒んだ 私の愛は、美しくなんてなかった 汚く淀んだ心は、君に届かなかった ねぇ、私はやっと、諦めがついたよ 色褪せた空、色褪せた町、君には光って見えるのかな そうだったら、いいな 私は君が好きだよ 君も私が好きになるまで、今度は迷惑をかけないから どうか、近くに居させて
作品ID:
E023
クリエイター名:
四季 夏
なし
「やあやあ」 「だぁれ?お前」 「わたしは"スベテ"さ」 "スベテ"を名乗る者はくるくると、例えばそれは赤子の表情のように、その姿を変えた。 鳥になったかと思えば熊になり、また次は人間、次は虫へと。 あんまりにも目まぐるしく姿を変えるもんだから、少しだけ頭がクラクラした。 「そんなに見た目変えたら、自分がなんなのか分からなくなりそう」 「心配ご無用!私は私だからね」 「…ふーん、そう」 「さて、どこへ向かうのかな?」 「え〜、そんなこと聞かれても」 ここには何も無いけど何もかもあるし。 ごろん、と寝転がって、青い空を見ながら過ごすのもいいかもしれない。 それともあの山を登ってみる? スベテに頼めば空も飛べるだろうか? 「あ、世界の端っこ、見てみたい」 「良い提案じゃないか!早速向かおう」 「向かうって、どこに?」 「世界の端っこだろう?」 「そんなところあるの?」 「君がそう思うならあるさ」 歩けど歩けど、世界の端っこはやってこなかった。 場所を知らないか問うても、幾星霜のその先かもしれないと、言葉巧みに交わすのだ。 「ねえスベテ、足が痛い」 「おやおや、困った子だ」 「靴擦れがひどいの!裸足で歩いてもいい?」 「もちろんだとも」 「誰かとすれ違ったら笑われそう」 「笑わないさ」 鳥の姿を模したスベテは、ばさり、ばさり、と翼をはためかせながら言う。 「この世界に存在するのは、君と私だけだから」 え?と返事をすると同時にスベテを見やると、ぐにゃりと地面が歪む。 歪んでいるのは地面だけではない、この世界そのものがぐにゃぐにゃと形を変え始めている。 「さあ、そこが世界の端っこさ!」 ……ピピピ、ピピピ、ピピピ、ピピピ 「んー………………」 まだクリアでない視界で時計を見る。 朝の7時30分。 「なんか変な夢見た……」
作品ID:
E006
クリエイター名:
こま
無し
碧空をたくさんの光が尾を引きながら遠ざかってゆく。 「どこへ行くのかな」 男にしては高く、女にしては低い声音。愛馬は緩やかな足並みを変えず、当然返事もしない。 見上げる双眸には聳え立つ柱が幾本と並んでいる。眺めるうちに、それがこの世界の最果てだと気付いたのは随分と前の話だ。 「とうとうわたしだけになったというのに」 自分は最後に生まれた赤子だった。それを最後に二度と人間は生まれなかった。そして、反比例するように世界は美しさを取り戻し、見上げる空には何処にいても目に映る柱が聳え立ったのだ。 死にゆく中、誰も言わなかった。覚えていてねと。 「わたしが覚えていればその中で生きてゆくのだと思う。生きていれば、その中で」 狩りや生活していく術はみんなが教えてくれた。そうした全てが教わったことをする度に心に灯り、蘇る。いつだってそこに在る。 自分はみんなを連れて、何も残せず終わるしかない。 「お前が覚えていてくれるかな。いっそ、あの柱になにか刻もうか」 可笑しくて腹が震える。誰も咎める者はいない。瞬いたその先の澄んだ空に、似つかわしくない彗星たちが滲む。 ゆっくりとその尾に向かって、手を伸ばす。掴めると錯覚しそうだった。 星には願うんだったっけ。 願い事を。 すると空を切るはずだった手のひらに、溢れんばかりの光が飛び込んだ。 「お前が呼んだのか」 何度瞬きして目を擦っても、それは目の前にいた。 「まあいい。早くしろ」 それの態度は横暴そのものだった。青い光を纏い、同じ色の光を放つ棍棒のようなものに乗っている。 「呼ばれて応えたら叶える、それが俺たちの宿命だ。まだ人間が残っていたなんて大きな誤算だ」 少年の姿をしたそれはぶつぶつと文句を言いながら、腕を組んだ。彼を観察してみると、殆ど己の知識と違わぬ人間の姿で、髪は青く、勝気で鋭い双眸は翡翠の色をしていた。 「早く願え」 急かす彼と正反対に、自分の中の高揚がスピードを落としていくようだった。案の定、少年は雷のように苛立って言い捨てた。 「願いはないと願え。俺は急いでいる」 そう言われても返事も出なかった。少年は呆れたように、棍棒の上に立ち上がる。もうその瞳はこちらを見てはいなかった。 ああ、行ってしまう。 「願いは」