最後まで俺を、世界を、責めてはくれないんだな 笑顔の君を嘲笑うかのように星たちが流れていく 死に逝く君が笑ってるのに、連れ逝く俺が泣くわけにいかないな 最後まで、本当に自分勝手だったよ、俺らは 君との出会いはちょうど1年前 この世界では皆、生まれ落ちた瞬間から己の運命を...即ち寿命を知る 誰に教えられるでもなく、ただただ知っている そしてそれに則って生きていく 逸脱すること無く、自分の知るそれの通りに ただし、当たり前のようなその事実にもイレギュラーが存在する そう、まさに彼女のようなモノだ 自分の人生が全く見通せないというイレギュラー それはこの世界で異分子...モノとして扱われる。決して人として認められない どれだけ生きたい、死にたいと願っても ソレらの運命は勝手に他人から決められる 『20年と1日』 もちろんソレとてただただ言われるままに死に逝くモノばかりではない だが、秩序のためにはソレごときに運命をねじ曲げられては困る そこで派遣されるのが俺のような見張り役だ その日まで生きるように、その日に死ぬように 運命の日のちょうど1年前に派遣される護衛兼、暗殺者 まぁ、大抵のモノは決められた死に逆らおうとする 早く逝こうとするモノ なんとか生き永らえようとするモノ ただ、俺が担当するヤツはかわっていた にこやかに迎え入れられたのはソレがはじめてだった 初めまして、死神さん？1年間どうぞよろしくね？ 死神である俺に笑いかけるなんて 相当狂ってるのかと思った ただありがたいと思ったのも事実だ 無駄にわめかれても面倒が増えるだけ 俺は俺の任務を遂行するだけだ なんでもひとつお願いを聴いてくれるって本当？ 俺は渋々肯定する あぁ、また禁則事項の説明から入... じゃぁ、私の彼氏になって？ ...は？ 思わず声が出たと同時に説明も聞かずに発せられたその願いに、俺は目眩がした まぁ、後生と言うやつか その日から俺は彼女と『人』として1年間付き合わなければならなくなった それからの日々はあまり覚えていない むしろ、思い出せないくらい単調な毎日だった 彼氏というからには...と覚悟をしていたがなんと言うことはない ただ名前を呼び、キスをして、おやすみと言うだけ それなのに、それだけなのに 何故俺は、こんな毎日を惜しいと思っているのか あぁ、神様とか言うヤツよ 俺の運命がここで途絶えていたのは そういうことだったんだな 「本日未明、モノを抱えて死亡している男性が...」