みんなと一緒がよかった。 私もそう思っていたし、今でもそう思う。 みんなは普通に脳にチップを埋め、社会もそれを前提にまわっている。 でも、私には普通ができない。 教育、仕事、生活、それを前提で紐づく全ての事について、私は、ありとあらゆるものを失うことになった。 そう、私は普通ができない。 「なぜできない」「頑張れ」「気持ちの問題だ」といわれてもできない体としか私自身説明できない。むしろ、理由があるなら教えてほしいし、できるようにしてほしい。できる人にはわかってもらえない・・・ くじけて、絶望して、無気力な私を救ってくれたのが歌だった。歌だけが私の苦痛を癒してくれた。歌を聴いてる時は私を温かく照らしてくれる光を感じることができた。 でも、現実はかけ離れ続け、普通ができないから、いろいろなものを失い続けた。 前に祖父から聞いたことがある、ずっと昔はフトウコウ、ヒキコモリ、ニートとかいわれていたらしい。 将来のことを考えると、もう何をしても意味がない、それでも何かしなければと思う私。でも、やっぱり今日も何もできなかったと、自責の念が反芻されて罪悪感を積み重ねて過ごす日々。普通の人から「勝手な言い訳」と言われるのも罪悪感を倍増するスパイス。私が一番わかっているのに・・・ そんな日々の中、最初は聞いているだけで救われていたが、いつしか、あの人のようになりたいという思いが大きくなった。 そんな時、私の隣にいた人が歌を聴いてくれた、すごく喜んでくれた。私にも何かができるかも、一筋の光が見えた気がした。 今は聴いてくれる人は少しずつ増えてきたが、心無い言葉で罵倒されることもある。全否定されて、やっぱり私には何もないと思った事もあったけど、歌う事が、私自身の明日を照らすライトと信じて・・・ 辛い思いをしている人達の気持を想うことができる、それが私の原動力。今まで数えきれないほど泣いた、普通の人が持っているほとんどのものも失った。 でもそう、気が付いたんだ、こんな普通でない私を相手にしてくれる人、私達につき合ってくれた皆がいるから歌っていられること。 今まで知り合った人、今こうして知り合えた人、この夜が明けた先で知り合える君。 この人達とだったら、もう一歩前へ進める気がする。君と一緒に笑いたい。 だから決めた、今度は私が君の未来を照らすサーチライトになることを。