【紫】 あなたの愛はこの世にはないの 私でも　他の女（ひと）でもない あなたは一体　誰を見ているの？ いつからだろう？ 離れていかないでとすがるあなたに 何の感情も持たなくなったのは 愛なんてとっくに消えてしまった 残っていたのは情だけ 私にないものを持っている女（ひと）たちに 醜く嫉妬していたね あなたと誰かの愛の結晶 それを育てる私の精神が どうして正常でいられると思ったの？ 半分は愛しくて　半分は憎らしくて 気が触れそうだった あなたは誰も愛してないの どんなにあの人に似た女を育てても 思い出の中のあの人を超えることは絶対にできないから 勝手だね 私はあなたしか知らない あなたがそう仕向けたんじゃない 私を囲って隠して 自分のものにしたがった 服も部屋も髪の色も あなたの大好きな紫色に染め上げた ねぇ　あなた好みに仕上がったでしょう？ もう私にしておけばいいじゃない その情熱を どうして私だけに向けないの？ あの人に　もっと似ている女（ひと）がいるんじゃないかって 思ってるんだよね？ 悲しくて傷ついて泣き明かして それでもあなたに捨てられるわけにはいかなくって いつも笑顔つくってた どう？飼い犬に手を噛まれた気分は 私が何も知らないとでも思ってた？ 他の女（ひと）との逢瀬も 他の男の味も 本当はとっくに知ってるの 泣かないで 先にいくね あっちであの人に伝えておくから 「彼は今もあなたを想っています」

ただの友達のはずだったけど いつの間にか好きになってしまった 中性的な横顔のあなた 意識が遠のいてく 砂漠の中に２人きりで 溶けて無くなってもいいわ だって誰にも邪魔をされず あなたを見つめたまま 死ねるわ 強く打つにわか雨 私は我に返る 現実も素晴らしい こうしてあなたが隣に居れば 「にわか雨はもうすぐ止むだろう」 わざと表情を消し去るあなたは 後ろめたさ隠しきれずにいる それでも頷くのよ 私の部屋は狭いけれど あなたは広い海なの 私の首に手を回して やさしくキスをされて 死ねるわ 東京は今日も雨 さよならを急がせる 待って走るのはやめて あなたと少しでも長くいたい また今度　それはいつよ いつもとは振る舞いが違う気がする 車窓から神田川 月が美しい夜 あなたは急に消えた 私はこの川に身を投げるわ ５年も尾を引く強い愛 ２人はひとつになれないの