《 あなたたちは優しすぎる この世界には向いていないのかもしれません さあわたしたちといっしょにいきましょう 》 教室の天井が砕け落ちる 星座を墜落させながらマザーシップが僕らの頭上にやってきた 青光を放ち旋回する光線　光の輪 選択肢は二つ　行くか行かぬか 僕らは呼ばれている 僕はいまそれを見上げている 君はどうする？ 炸裂する水晶が無数のまばゆさを放つように 墜落していく星座のかけらが僕らの頭上に降り注ぐ ああ　時計が止まっている 時間の外側で　いま　選択を迫られる 君はどうする？ 僕は行こうか 僕は往こうか 僕は逝こうか 一瞬間にあらゆる思考が押し寄せ 目の前にすべての情景を見る 日常の残骸は空に吸い込まれ いま落ちていく 上へ上へと いま僕らは心を奪われている やすらぎを感じる 痛みが消えていく あのマザーシップに乗れば どこまで行けるだろう ふいに僕は思い出す 生まれたときに聞いていた あの声をあの歌をあの音色を いま僕らは見ているその映像を 散乱するエメラルドは夜空に崩壊した 《 いっしょにいきましょう 》 軽やかな口笛のようなその声が 天上から聞こえ僕らを包み込む 僕はきっと行くだろう そこへ　きっと行くだろう でも　いまじゃなくていい ふと　そう思ったりする マザーシップがわななき出す 僕らを呼んでいる 視界のすみっこで　いま　オリオン座が墜落した 衝撃　そのあとまた　時計が動きを始める 風が舞い上がり破れたノートがひざにはりつく 割れたガラスが　すあしを切った　血 マザーシップは上昇をし始める 僕らは選ばれ　僕らは拒否した そのやさしい手を　あのやすらぎを すっかり穴の空いた天井からは 音楽が雨とともに降ってくる 僕は覚えている　僕ら覚えている その音楽を　いま　思い出す 君はどうする？ 僕はきっと行くだろう そこへ　きっと行くだろう でもいまじゃなくていい まだ戦えるだろう マザーシップは遠くなる その船は帰還する どこへ行くかは　僕は知らない 僕は残る　ここに残る 開けた空から星を眺めていた ずっと見続けていたせいだ ああ　首が痛い 僕はふいに振り向いた そのとき　君は ……。