｢中佐、軍の対魔装備のご着用を…｣ 少尉は私の苛立った目線一つで口をつぐんだ たかが数発の攻撃しか防げない癖に あの装備は動き難く、なにより私の集中を乱すのだ 私は思う つまりは、そう やられる前に落とせばいいんだ、と どのみち奴らを殲滅しなければ 我々に明日はないのだから ｢こんなモノが自分達の生活している真横をウロウロしているなんて知ったら住民は大パニックだな｣ 一人ポツリと溢した私に後ろから声がかかる ｢準備出来ました。いつでも！｣ 表向きは資源欲しさのテロリストを迎撃していると公表されているが 我々の向き合っているのは “未知のバケモノ”だ 隣り合う異次元から、食糧…… つまり我々人間を食べる為やって来るバケモノ 初めてそれが観測された日、我々は苦戦を強いられた 街から離れた集落から人が消えたと報告が上がった 調査に向かった隊の最後の通信記録は｢バケモノども｣ という言葉と共に切れていた 再度大掛かりな調査及び討伐隊が調査を始めるとバケモノは突然現れ、食事を始めた 隊員を失いつつも交戦した討伐隊だったが バケモノどもに 化学兵器は効果が薄く、数人の魔法使いが入れ替わり何度も呪文を撃ち込みようやく１体を倒したが、残りのバケモノどもには逃げられてしまった その日、たった３体の奴らに我々は28名もの隊員を失った ｢撃て！｣ この武器は偶然の産物だった 奴らが現れるようになって１年が過ぎ 闘いの中、ある魔法使いが奴らに喰われそうになった 魔法を使おうにも詠唱をしていては間に合わない 喰われる！ ……抵抗しようと銃器を構え 打ち出した弾に魔力が宿った 弾は奴らの肉を穿ち、穴をあけ 絶命したそれは地に落ち 次元の狭間に消えた ｢少尉、次の歪み出現予測まで何秒ある？｣ ｢30秒、中佐いけますか？｣ ｢いけるか？勿論だ！奴等の胃袋に収まってやるつもりはないからな｣ 奴らは食糧の多い場所を本能的に探りあて市街地に出現するようになった 我々は高位の魔法使いを募り次元に結界を張り、その一部を定期的に弱めるようにした いくら高位とはいえ、大量のバケモノが次元を歪めて来ようとすれば結界が保てなくなるので数を減らすのである その一時的に結界を弱めた場所、それは、そう今私がバケモノどもをぶち抜いている 此処だ ｢次弾魔力充填完了！撃て！｣