いつかあの星は失われた故郷になるのだろうか。 長い長い時が過ぎてやがてはその位置すらも喪失してしまった時代になるのだろうか。 一律に提供された倉庫には黒い炭酸飲料を詰め込めるだけ詰め込んだ。 ありふれた銘柄。だけれど、全体の総量が増えることはもう二度とない。 あの星から旅立ち開けた最初の１本。“味わっていると炭酸が抜けてしまうな”なんて言葉を思いだす。 朝日でも夕日でもなくなる太陽がこの町を照らす。本当に、平等に、このエリアを。 逆光で細めた目で凝視してもちっともわからないが、丸いあれはゆるやかに、でもたしかに遠ざかっているらしい。 いつかあの地球<<ホシ>>は選ばれし者が住まう星になるのだろうか。 人類の故郷に住まう人々が羨望の対象になる時代が来るのだろうか。 別れの告げ方はどうすればいい。 青みがかった地球を見たかった。神の存在を確かめたかった。 行為がのちに影響するだろうか、なんて感傷に浸りつつ。きっとしないだろうな、わかっている。 けれど、この日、私は初めてティラミスを食べた。

もうどれくらい経っただろう。 あなたがいなくなった日から、何もなかったかのように時間だけが流れていく。 不安になる度に、何の根拠もない自信に溢れた表情で宥められた。 その顔の裏を分かっていながら、気付かないふりをしていた。 平静を偽った笑顔。 もっともらしい理屈で固めた嘘。 だけどそんなセリフさえも期待していた自分がどこかにいた。 丘の上。夕日越しに見たあなたの背中を思い出す。 積み重ねた思いの数だけ胸を締め付けた。 向き合えない現在(いま)から目を逸らしては、瞼の裏に揺れては消えゆくあなたを追いかけている。 叫びたいほどの心が吐き出した想い。 そんなことをしても変わらない現状。 「何がダメだったんだろう」 「どうしておけばよかったんだろう」 同じ事を考えても意味がないことなんて自分でも分かっている。 それでも残酷に時間は止まらない。 世界に終わりが見えていても、あなたを待ち続けている。 あの日のあの場所で。 この声(おもい)が届かなくても。 交わした言葉さえ、滲んだ戻る事のない日々を数えては本当の自分に溺れそうになる。 もう会えないと知っていたとしても、音も途絶えた心の中では [ さよなら ] の一言は聴こえなかった。 この最後の日に、あなたはどこで何をしていますか？ いつもより炭酸が強く感じる。 あと１回、ただひたすらにもう一度、あなたの口癖が聴きたかった。 「大丈夫。」と

「明日、世界が終わる。」 そう、国の偉い人が言っていました。 それを聞いて私は何も思いませんでした。というのは嘘ですね、もしかしたら最期の日くらいは貴方と会えるかもしれないと少し期待していました。この世界は私の前から貴方が居なくなってしまった時から暗い灰色です。恋人とか友人とかそういう名のつく関係ではなかった気がします、でも私にとって大切な大切な人だったのですよ？　 何故居なくなってしまったのか今何処にいるのか、何も知らないままですけど、私はずっと貴方を待っています。貴方の好きなコーラだって、貴方の好きなプリンだって用意しているのに中々来てくださらないので少し私が食べちゃいました。今ならまだ半分こできますよ。なので、早く来てください最期の瞬間まで待っています。夕陽がとても綺麗なあの場所で。